平和のカンナ、須坂から長崎へ世界へ

2017-11-18 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 真っ赤なカンナの花で次世代に平和への思いを伝える活動を展開している「カンナ・プロジェクト」(橘凛保代表=東京都)は23日、長崎市で開かれるキリスト教の国際的な式典にカンナの球根約1,500株を届ける。
 このプロジェクトに賛同してカンナを育てている須坂市高梨町の梨ノ木街道管理委員会(中島賢委員長)と地元の子どもたち約40人と保護者らは11日、高梨町のカンナの花壇前で、長崎に送るための「平和のカンナのバトン式」を行い、当日訪れた橘さんと須坂市のキャラクター「かんなちゃん」にカンナの球根を託した。
 橘さんは平成16年、広島平和記念館で悲惨な展示に心を痛めている時、原爆投下の直後に咲いたカンナの写真に出会い、救われる思いがした。しかも、この事実がほとんど知られていないことから、多くの人に伝えるために同プロジェクトを立ち上げた。寒さに強い品種を探していたところ、19年に田辺花卉園の故田辺雅夫さん(須坂市仁礼町)と出会い、球根100株を譲り受けた。
 その須坂産の球根は翌20年には広島市内の小学校9校で花を咲かせ、株分けして長崎や沖縄などにリレーされ、現在は31都道府県171校、海外14カ国に行き渡っている。21年に須坂市に戻り、須坂長野東インター入り口に広島から里帰りのカンナ街道ができた。
 橘さんの活動に賛同した同管理委員長の中島さんは昨年、日野小学校、日野保育園、マリアこども園にプロジェクト参加を呼び掛け、今年5月に高梨町の国道406号沿いの花壇に児童・園児約150人を含む市民ら約200人と共に球根約800株を植えた。今回は委員会と子どもたちがその花壇から球根を掘り起こした。
 式典は被爆で全壊後に再建された浦上天主堂で、ドイツの神学者ルターが宗教改革を唱えて500年の節目を記念して開催。国内外から約1,500人が参加するという。
 球根寄贈は、式典の主催者が橘さんの活動に注目し、カンナを平和のシンボルフラワーとして広めたいとの依頼があり、当日の全参加者に配布される。球根は須坂を中心に広島や長崎など各地で育てられたもの。式典には橘さんとかんなちゃんが出席して「カンナを平和と希望の印として育ててください」と呼び掛ける。
 球根掘りに参加した日野小6年の中村朱里さん、松尾美優莉さん、森彩夏さんは「須坂のカンナが世界の平和につながってうれしい。私たちの思いがカンナを通して伝わってほしい」、中島さんは「少しでも世界平和へつながればいい。今後も5万株、10万株と応援していきたい」。
 また、橘さんは「須坂市が里親のカンナの球根を届けることができてとてもうれしい。今後も宗教や国の枠を超えて平和のバトンを次世代につないでいきたい」と話している。

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