須坂創成高創造工学科〜デュアルシステム本格始動

2016-05-28 07:00 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 須坂創成高校の創造工学科で、学校と企業が協力して生徒の実践的な学習を充実させる「デュアルシステム」が本格的に始まった。2年生38人が23〜27日にかけて、須坂市内などの企業で就業体験を実施した。社会人として必要な能力や態度、自身の職業適性などを考えることが狙い。生徒たちは、ものづくりの現場を肌で感じ、今後の学習や進路に役立てる。同科のデュアルシステムは、各学年でそれぞれ外部と連携していく体系が構築されている。地域産業を担う人材の育成に向け、県内では初めて学科の生徒全員が参加する先進的な取り組みだ。
 20日に同校(須園キャンパス)で開いた結団式で小椋勇人校長は、「第一線で活躍している企業で学べることは非常に有意義。学校では得られない体験を積んでほしい」と激励した。
 講話でものづくりに重要な心構えなどを伝えた工作機械部品製造のナツバタ製作所(須坂市幸高町)の小林豊社長は、「チャレンジをしないと新しいものは創造できない。(失敗しても)必ずいい方向に向かっていると思い込むことが大切」と呼び掛けた。
 就業体験は3〜5日間(終日)の日程で行った。須高地域などの企業でつくる協力企業会(51社)の35社が生徒を受け入れた。
 ファインセラミックス製品など製造のアスザック(高山村駒場)には23日から5日間、荒井裕貴さん(16、須坂市仁礼町)が訪問。同社主力のファインセラミックス製品の製造工場で、加工工程作業を学んだ。
 3日目の25日は大型の平面研削盤を使って、液晶製造装置用の部品を作るための平面加工や、レーザー加工機で半導体製造装置用の部品を作る工程を体験した。社員から指導を受けながら、真剣な表情で作業に励んでいた。
 荒井さんは「学校では金属しか加工したことがなかった。ファインセラミックス加工は感覚が全然違った」と実感。社員の働く姿勢からは「お客さまのことを考えて作業をしていて細かいところまで気を使っている。丁寧に心を込めて製品を作る大切さを学んだ」と刺激を受けていた。
 同社総務部の山中健治さん(38)は「就業体験ではいろいろな機械に触れてもらうことで、ものづくりの面白さを知ってほしかった」と言う。同社はこれまでにも学生の実習を受け入れてきた実績があり、「教える側にとってもトレーニングになり学ぶことは多い」と話していた。
 産業用機械部品など製造の清水ダイカスト工場(須坂市塩野町)には24日から3日間、関川祐亮さん(16、小布施町伊勢町)が訪問。同社はアルミニウム、亜鉛合金ダイカスト製品を製造しており、製品の受注、製造、納品までの工程を学んだ。
 最終日の26日はトリミングプレス機を操作して、製品の製造過程で余分な部分を除去する、ばり取りを体験した。集中して一つずつ丁寧に作業を繰り返していた。
 関川さんは、「ダイカスト製品が学校で使っている機械の部品になっていることを初めて知った。(作業では)自分のミスを見極めるのが難しかった」と言う。
 作業の出来を褒められ、ものづくりの喜びも知った。「学校の実習とは違い失敗すれば周りに迷惑をかけてしまう。責任感を持って仕事をする大切さを学べた」と話していた。
 同社は過去に職場体験で中学生を受け入れたことはあったが、高校生の受け入れは初めてという。清水保社長(59)は「社会に出る前にこういう体験ができることは幸せ。製造業に限らないが(生徒には)常に探究心や向上心を持ち続けてほしい」と期待していた。
 就業体験は別の企業で8月にも実施する。担当の山口新一教諭(45)は「この経験を通して新たな目標を見つけ、将来に向かって一歩一歩成長してほしい」と話していた。
 なお、県内では一部の生徒を対象に、平成18年度から池田工業高校(北安曇郡池田町)がデュアルシステムに取り組んでいるほか、本年度からは軽井沢高校(北佐久郡軽井沢町)も導入している。

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