【富士通須坂工場PCB問題】揚水、地中壁などで対策〜地下水監視強化も

2012-07-28 07:00 am by 須坂新聞

工業・商業 icon 富士通須坂工場(穀町)の地下水から環境基準では「検出されないこと」とされるPCB(ポリ塩化ビフェニール)が検出されたことについて、須坂市と富士通は19日、市中央公民館で地元3町(穀町、上町、常盤町)の区民を対象に説明会を開いた。同社は調査結果から、汚染源の存在について「現在操業中の工場内東側建屋(昭和60年完成、1階床面積715平方メートル)の下、またはその周囲の可能性が高い」との判断を示した。
 対策として、地下水が向かう側の敷地外2カ所で新たに採水し、モニタリングを強化する。1カ所は須坂小に観測井戸を新設(工事期間は7月30日〜8月12日)。もう1カ所は須坂東高の既設井戸で地下水を採水する。
 敷地外への拡散防止対策では、汚染源とみられる付近での揚水と活性炭を使ってのPCB除去(8月下旬試運転、9月本運転予定)のステップ1を行う。ステップ2では揚水強化、遮水壁による封じ込め、地中への浄化壁設置などを検討し、対策場所を絞り込んだ後、11月から実施したいと工程表を示した。
 PCBは電気絶縁性に優れ、化学的に安定していることから、絶縁油や感圧紙などに利用された。
 同社によると、須坂工場での使用は昭和31年〜39年の9年間。PCBを使用した製品の不良品等は、当時の清掃法に準拠して地中に埋設していた。
 説明会には27人が出席した。報道機関へは非公開で、冒頭だけ公開された。
 終了後の取材では、出席者は稼働中の工場東側建屋周辺の土壌汚染の本を絶つ計画について質問。同社は「建物の物理的対応は約束できないが、中長期的には考えないといけない」と応えた。
 また「3町以外でも説明すべき」との声に「市と相談して検討したい」としたという。
 同社は平成3年に自主的な土壌調査によってPCB等の土壌汚染やPCB廃棄物(製品くず等)を確認。同4年〜8年には、汚染土壌を掘削し、PCB廃棄物を回収後、地下保管槽に保管した。
 同18年に老朽化建屋を解体後、社内規定に基づいて自主的に環境調査を実施。同19年は社員寮跡地のPCB汚染土壌を掘削浄化。工場敷地内北側の汚染土壌を掘削浄化した。同20年〜21年は、工場敷地内のPCBと重金属汚染土壌を掘削浄化。工場敷地内南側の汚染土壌を掘削浄化した。
 同22年には一部の地下保管槽を解体し、保管土壌を浄化処理。
 昨年12月と今年1月(再調査)の地下水自主検査でPCBが検出され、2月、土壌汚染対策法等の責任官庁の県と市に報告。3月、近隣3町に説明資料を配布した。これまでに毎月地下水を調査。フィルターろ過して不検出とした4月を除いて6月まで毎月PCBが検出されている。
 同社は6月15日と22日に須坂東高の地下水を調べたが不検出。6月23日以降のプールの水は地下水から水道水に切り替えた。須坂小と常盤中は地下水を使用していない。
 県は4月に市内6カ所で井戸水の水質検査を行い、不検出。市は3月と6月に水道水源3カ所(小山、南原、相森)を調べ不検出。
 市水資源保全条例に規定する井戸は動力を用いて地下水を採取する施設で、生活環境課によると、須坂工場から半径1km範囲の井戸は市の水源を含めて10カ所(動力によらないを含む)。東高校、須坂ショッピングセンター、須坂病院は「飲用に使用していないと考えている。また、動力を用いる施設のほかは把握していないので、個人井戸で不安のある人は相談を」と話す。

2012-07-28 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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