【須坂新聞×北信タイムス×北信濃新聞/元旦号合同企画】北信州ゆうゆさんぽ③

2010-01-01 07:05 am by 須坂新聞

観光 icon そんな中、今年で4回目を迎えた須坂新聞、北信タイムス(中野市)、北信濃新聞(飯山市)の北信州3紙による合同企画は「北信州遊癒(ゆうゆ)さんぽ」。癒しを求めて記者3人が飯山市で森林浴、須坂市で 座禅、中野市の公園に山ノ内町の温泉街散策と、各地をのんびり訪ね歩いた。

◇中野市/山ノ内町〜心も体も「のふとまる」
■渋温泉
 「渋温泉」。夜間瀬川支流の横湯川沿いに温泉街が広がる。
 その歴史は古く、今から1,300年ほど前、奈良時代の僧、行基によって開湯されたと伝えられる。戦国時代には武田信玄の隠し湯の1つでもあり、川中島の戦いの折には傷ついた兵を療養させたという話もある。
 38カ所の源泉から毎分合計3,100ℓを超える豊富な湯が湧き、温度は46度〜98度と高い。この湯量と温度が、温泉ファンに愛される要因の1つになっているのだろうか。
 泉質はおおむね塩化物泉に属するが源泉によって差があり、旅館、外湯によってさまざまな温泉を体感できるのも魅力だ。
 そんな渋温泉街をのんびり歩いてみようと、私たちは夕暮れが迫る温泉街に出かけた。石畳が敷き詰められた道に、カランコロンと響く下駄の音。「巡浴祈願」の手ぬぐいを持った浴衣姿の宿泊客とすれ違う。
 渋温泉には9つの外湯がある(日帰り客には9番湯・渋大湯のみ有料開放)。効能の異なる9つの外湯を巡り、巡浴祈願の手ぬぐいにスタンプを押す。すべて集め、高台のお薬師さんで最後のスタンプを押して詣でれば「満願成就」というわけだ。
 急というわけではないが、坂道がずっと続き、日ごろ運動不足の私が疲労を感じ始めていると、絶妙のタイミングで足湯が現れた。
 九番湯・渋大湯の屋上にある足湯「のふとまる」だ。「のふとまる」というのは、この地方の方言で「あたたまる」の意味。少し熱めのお湯だが、疲れた足を心地良く刺激してくれる。じわじわと足元から体が温まってくるのがわかる。
 こういう状況だと、隣りにたまたま居合わせた観光客の方とも、自然と会話が生まれてくるから不思議だ。これも温泉地の持つ魅力の1つなのだろう。足湯を後にまた歩き出す。
 この温泉街の良さは街並みにもある。ひなびた感じの、レトロな建物の数々。思わず見逃してしまいそうな所に建つ葛飾北斎の句碑。山手斜面に続く閑静な御利益散歩道。
 渋温泉街は、また訪ねてみたいと、思わせてくれる湯まちだった。
■手打ちそば体験
 長野県(信州)といえば「そばどころ」というイメージを持つ人は少なくない。それは、長野の気候、風土がそばの栽培に適しており、古くから郷土食として食べられていたことに由来するのかも知れない。そんな「そばどころ」に住んでいる私たちだが、食することはあっても、そばを「打つ」という機会は多くはない。
 うかがったのは中野市浜津ヶ池公園市民センターの天悠そばホール・古式本格手打ちそば処「天悠」。信州蕎麦文化普及会副会長の宮本和義さんが出迎えてくれた。宮本さんは以前から旧豊田村でそば打ち教室を開き、イベントの際にそば打ちをしていたそうで、中野市との合併を機に現施設で、そば打ち教室を始めたという。
 まったく基礎知識の無い私の前に水・そば粉・つなぎの小麦粉が並ぶ。「そばは練り過ぎてはダメ。そば粉が必要としている水を一気に与えてやって、水回し(そば粉・つなぎに加水し、手で混ぜながら粉に水を行き渡らせる工程)をしっかりとやるんだ」という宮本さんの言葉を聞きながら、おぼつかない手つきで、水回しをやってみる。なんとも言えない感触で、一心不乱に混ぜてはみるものの、それが良いのか、悪いのかまったく見当はつかない。
 時折、宮本さんが「いいよ、うまくいっている」と言ってくれるのだが、やはり、まだ半信半疑。難しい指示を受けたわけでもなく、普通にやっているだけなのに、作業が進むにつれ徐々に「らしく」なっていき、麺棒で延ばす工程までたどり着いた。失敗するのであれば、この工程なんだろうなあと思いつつ、やはり指示通りにこなしていく。そして、気付けば最後の切る工程に。さすがに宮本さんほど細くは切れなかったが、自画自賛で「味のある」太さのそばが完成した。
 併設の食堂でさっそく、打ったそばをゆでてもらった。自分の打ったそばが料理として目の前に出される不思議。口中に風味豊かなそばのおいしさが広がる。これは体験した人にしかわからないかも知れない。 
 自分の打ったそばを家族がおいしいと言って食べてくれ、それで、さらにそば打ちにハマってしまう、そんな人たちの気持ちが分かったような気がした。
(北信濃新聞・上野達磨記者)
▽渋温泉旅館組合 ☎0269-33-2921
▽天悠そばホール ☎0269-22-7666

2010-01-01 07:05 am by 須坂新聞 - 0 コメント



【須坂新聞×北信タイムス×北信濃新聞/元旦号合同企画】北信州ゆうゆさんぽ②

2010-01-01 07:05 am by 須坂新聞

観光 icon そんな中、今年で4回目を迎えた須坂新聞、北信タイムス(中野市)、北信濃新聞(飯山市)の北信州3紙による合同企画は「北信州遊癒(ゆうゆ)さんぽ」。癒しを求めて記者3人が飯山市で森林浴、須坂市で 座禅、中野市の公園に山ノ内町の温泉街散策と、各地をのんびり訪ね歩いた。

◇飯山市〜雄大な自然に抱かれて
■森林セラピー
 ブナの原生林が広がる鍋倉山をはじめとして豊かな自然に包まれた飯山市。同市ではこうした自然環境を心身の健康づくりに生かす「森林セラピー」が行われている。セラピーと聞くと何か治療を受けるようなイメージがあるが、特別なことをするわけではなく、のんびりと自然に触れて心と体を癒すことだという。
 飯山市では市内の森林で森林浴の生理実験を行い、免疫力向上や疲労緩和、リラックスなどの効果を実証し、2006年にNPO法人森林セラピー研究会から、適地として「セラピー基地」の認定を受けた。現在は主に市内の3つのエリアに拠点施設や散歩道を整備して、森林浴などをできるようにしている。
■ブナの里山こみち
 その一つ、なべくら高原には、拠点施設「森の家」周辺を中心に森林や田園地帯、集落などを巡るさまざまな遊歩道が設けられている。同所職員で認定ガイド「森の案内人」の高野賢一さん(33)の案内で、初心者向けのセラピーロード「ブナの里山こみち」を散策した。
 訪れたのは昨年の11月中旬。紅葉が終わった時期ということもあり、緑生い茂るといった風ではなく、落葉したカエデ、ナラ、ドングリや、スギなどに交じってユキツバキなどの低木も多くあり、開放感も感じられた。足元が柔らかく気持ちいい。道には間伐材のウッドチップが敷き詰められている。ユニバーサルデザインで、段差がなく、車いすなどでも歩行できるという。沢を横切り、ため池を横目にしばらく進むと一転してブナの林が現れた。
 高野さんから「気に入った場所で10分間、何も考えず自然を感じてください」との提案。林の中に分け入り、ブナの大木のそばで静かに目を閉じてみた。しかし、あれこれ頭に浮かんでしまい「何も考えない」というのは意外と難しい。
 しばらくして落ち着くといろいろな音が聞こえてきた。鳥のさえずり、川のせせらぎ、風に揺れる葉のざわめき。ゆっくり深呼吸すると澄んだ空気が体の中を巡り、雨に湿った葉や緑の香りがした。足の裏からは積もった落ち葉の柔らかな感触やぬくもりが伝わってくる。目を開けるとブナの灰白色やスギの緑、落ち葉の茶色が、人工物に慣れた目に優しく入ってきた。音、香り、感触、色。どれも心地よく、気持ちが安らぎ、五感が呼び覚まされた。
 1.2kmの道のりを1時間以上かけてゆっくりと歩き終えると、心と体が温まっていた。
■セラピー弁当
 森の家で昼食に「セラピー弁当」を味わった。飯山食文化の会会員で惣菜と弁当販売の「味宝来」を営む坪根登美子さん(54)が手作りしていて、すべて自分の畑で有機栽培した旬の野菜のみを使っている。伝統野菜の常盤ゴボウや坂井のサトイモのほか、イモナマス、ムカゴなど。控えめの味付けで、野菜の甘みが濃い。食材や調理法について坪根さんが一つひとつ説明してくれた。その話を聞きながら食べるとよりおいしく、体の中から元気になった。
■小菅修験の道
 続いて北信州三大修験霊場の一つ、小菅神社の参道「修験の道」を歩いた。ブナの里山こみちとは一変して、うっそうとした山の中腹にスギ並木が続く荘厳な雰囲気。コケむした石畳の参道は急。スギの大木を見上げ、自然の迫力に圧倒されながら奥社まで約1kmをもくもくと歩くと汗びっしょり。いつの間にか頭の中から雑念が消えて無心に。心身とも清められ、すがすがしい気分になった。
 (須坂新聞・中島也之記者)
    ◇    ◇  
 森林セラピーはコースごとの距離や所要時間、標高差、消費カロリーなどを表示したマップがあり、各自の体力や体調に合わせて歩くことができる。飯山日赤と提携しての健診も受けられる。基本的には自由に歩けるが、案内人との散策や、野菜収穫、森林ヨガ、ノルディックウオーキング、スノーシューなどの各種体験を組み合わせたプランもある。
▽森の家 ☎0269-69-2888
▽飯山市観光協会 ☎0269-62-3133

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