須坂市が防災研修会/「ご近所の底力」のアップを

2005-10-27 07:00 am by 須坂新聞

まちづくり icon 新潟県中越地震からあす23日で丸1年が経過するが、須坂市はこのほど、同地震を体験し、被災者救援や被災地復興に携わる長岡市の担当者ら3人を講師に、メセナホールで「防災研修会〜ご近所の底力をアップさせるために」を開き、多くの市民が専門家の話に聞き入った。
 昨年はこの中越地震をはじめ台風、新潟・福井豪雨、浅間山爆発など県内や同じ北信越地区で災害が発生、今年も国内外で多くの人命や財産が奪われる大災害が多発しており、自然災害は「いつ来るかわからない」ではなく「必ずやって来る」という認識が必要となっている。
 被害を最小限に食い止めるには各個人の自覚と「ご近所の底力」が重要で、今回の研修会は市民一人ひとりに災害に対する備えを見つめ直しててもらうと共に、地域の支え合いづくりの契機にしようと初めて開き、専門家三人がそれぞれの立場から話した。
 まず、一般防災の基礎を知ってもらおうと、信州大学教育学部長の赤羽貞幸教授が「長野盆地の活断層と善光寺地震」と題して▽長野県は山と盆地の境に活断層が発達。北信は長野盆地の西の縁に沿って飯山まで続いている▽950年に1回大きな大地の動きがある▽善光寺地震(1847年5月8日午後10時ごろ発生)はマグニチュード7.4、30%の家が倒壊、須坂市福島町付近の千曲川で3メートル程水位が上がり、3日間火災が続いた▽防災に向けて、過去に発生した地震災害の記録を掘り起こして、これらの記録を活用することが後世への最大遺産になる―などと話した。
 新潟県長岡市役所復興推進室次長の佐藤恭一氏は「新潟中越大地震、被災地からの報告」と題して▽職員も被災者で行動できず、職員一人あたり市民約100人を担当する計算になったが、物理的に無理で、自主防災組織が必要となる。指定した避難所以外に多くの避難所ができた。自主防災組織が主体となって避難所を運営してほしい▽災害を体験して、災害発生時は自分の身は自分で守る、近所で助け合う。このためには日ごろからの準備や日常のコミュニケーション作りが大切▽日中は大人が家にいない。頼りになるのは中高生。訓練が必要だが、楽しい行事の中に取り入れるなどやり方を工夫すること▽防犯対策に苦慮した。地震に乗じて悪いことをしようとする人がいる▽ボランティアは自己完結型で来てほしい。宿はどこというのは困る。
 また、今後の検討課題として▽発生時における情報収集方法の確保/情報伝達手段の確立/避難所の開設状況の把握(指定場所以外での開設、避難者数、安否確認など)▽避難所運営の自立▽支援物資の荷捌き場所の確保▽食糧の配布方法▽積極的なマスコミの活用―などを報告した。
 県危機管理室危機管理・消防防災課長の松本有司氏は、自主防災組織づくりと活動に向けた「防災マップの作り方」と題して▽行政だけでは限界があり、地域の力がどうしても必要。阪神大震災では四分の三を地域の人たちが助けた▽安全・安心のための地域防災マップを作ろう。まちの課題(火災が拡大しやすい、犯罪の不安がある、交通事故の危険がある場所など)やまちの魅力(消火・援助・避難・情報入手に役立つ場所など)を話し合い、災害に役立つ人材(消火・救助・医療・輸送などができる)を知ること。まちを歩き、マップを作り、報告会を行う。我が家の防災マップもあればいい▽災害時の障害者・高齢者の避難を支援する「住民支え合いマップ」を作ろう―などと呼び掛けた。
 なお、須坂市ではこの防災マップづくりを内容に含めた「地域づくり市民会議」を10月7日から11月1日まで市内12会場で開催中で、今後は24日に日滝地区、25日に井上地区、26日に高甫地区、31日に豊洲地区、11月1日に日野地区で開く。

2005-10-27 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。