信州岩波講座/地方が元気になるには:宮本・鎌田・高橋氏が座談会

2005-08-31 07:00 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 活字文化の活性化や地域社会に根ざした文化活動などを目的に須坂市で毎年夏に開講、7年目を迎えた「信州岩波講座」の第二講座が20日、メセナホールで開かれ、約600人が聴講した。
 第二講座は「地方が元気になる」がテーマ。前滋賀大学学長の宮本憲一氏が「環境と自治の世紀を〜維持可能な内発的発展」、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が「命・平和・環境を見つめる〜地域からの視座にこだわって」と題して講演、引き続き、二氏に下水内郡栄村村長の高橋彦芳氏を加えた座談会(司会・増田正昭信濃毎日新聞論説委員)が行われた。
 講演で、宮本氏は▽20世紀は中央集権、現在は分権の時代。世界には分権に向けて二つの潮流がある。一つは民営化と規制緩和によって小さな政府をつくること、一つは公共部門を自治体が担う福祉分権国家をつくること▽日本では分権の受け皿として市町村合併が断行された。政府は人口1万人以下の自治体をなくしたいと思っているが無理があり、むしろ小さくても自治体が自立していくにはどうしたらよいかを考えなければならない▽外来型開発で東京一極集中と地方の過疎化が進んだ。地域の資源や技術、人材を生かした内発的発展が必要。足元を掘れ、そこに泉湧くという言葉が好きだが、維持可能な社会をつくるには足元から出発しなければならない―と話した。
 鎌田氏は▽こんなに豊かな日本なのに8人に1人がうつ状態。15歳から34歳までの女性の死因の1位は自殺。国のつくり方をどこかで間違えた▽都会に魂の在り場はない。地域が大事で、長野には地域が残っている。いい地域いい長野をつくることでこの国も変わっていく▽命、環境、平和はつながっている。世界は憎しみと恨みの連鎖に覆われているが、温かな連鎖を起こすこともできるはず。キーワードは子供。世界中で苦しんでいる子供たちに手を差し伸べることで未来は変えられる―と訴えた。
 また、どうしたら地方が元気になるかを話し合った座談会で、高橋氏は▽栄村では「田直し」や「げたばきヘルパー」など地域循環型経済システムを作った。実践的住民自治が大事。汗をかかないとダメ、ズクを出すこと。宮本氏は▽地域で同じ問題に取り組んでいる人が最低2人以上いるといい。1人では孤立する危険がある▽立場の違う人が同じ方向を向いて合作する「協働」で解決を見い出す▽いいことはほめる、発した言葉は受け止めてあげる。鎌田氏は▽地方が元気になるには大事なことが二つある。一つは国の言うことを聞かない。一つは異業種の人たちが一緒にやること▽行政は住民を信頼すること―などと語った。

2005-08-31 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。