【須坂市】蔵の町並み保存・活用推進で重伝建選定へ取り組み

2016-12-10 07:00 am by 須坂新聞

まちづくり icon 須坂市は中心市街地の蔵の町並みを、国の「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)」への選定を目指して取り組む。製糸業で栄えた明治から昭和にかけて建てられた蔵造りの建物などが並ぶ町並みの保存、活用を進め、さらなるまちづくり、地域活性化につなげたい考え。
 市の奥原利広まちづくり推進部長が30日の市議会一般質問で明らかにした。
 重伝建は、文化財保護法に基づいて市町村が定める「伝統的建造物群保存地区」のうち、国が特に価値が高いと判断した地区を選定するもの。建物の新築や改修に一定の制約がかかる一方、基準を満たせば国の補助が得られる。
 12月1日現在、重伝建に選定されているのは全国112カ所。県内では南木曽町の妻籠宿と、塩尻市奈良井、塩尻市木曽平沢、東御市の海野宿、千曲市稲荷山、白馬村青鬼の6カ所。
 奥原部長は「選定されれば重伝建のブランドによる誘客が期待できる。また、国の補助で建造物の改修などが行える。蔵造りの建物を今後も維持、保存していくためにも重伝建選定を進めたい」と述べた。
 市は1989(平成元)年に、選定を目指して伝統的建造物群保存対策調査を行ったが、対象範囲設定の庁内調整が整わなかったため、事業が進まなかったという。
 その後、町並み環境整備事業などで歴史的建物の保存、活用を支援してきた。そうした中で、専門家などから重伝建選定を勧められたことから再度、取り組むことに。
 選定への進め方としては、文化庁や県と相談して伝統的建造物群保存地区のおおまかな範囲を設定すると共に、歴史的建物などの調査を行う。その後、市による保存条例制定、審議会設置、都市計画法による保存地区の決定、保存計画の策定などを行った上で、文部科学大臣に重伝建選定の申請をする。
 その過程で、住民の意向確認や、対象建造物の所有者の同意を得る必要などがある。奥原部長は「地域住民の理解や熱意も重要な要素。地域の盛り上がりを高めながら進めていきたい」と述べた。
 奥原部長は、伝統的建造物群保存地区は、中町交差点を中心に、旧谷街道(銀座通りなど)と旧大笹街道(国道406号など)に沿った範囲を想定しているという。
 市まちづくり課によると重伝建選定は、「建物だけでなく一帯の環境や地域特性なども含めて判断される」という。「年内に文化庁に蔵の町並みを見てもらい、どのような形であれば進められるか相談し、課題を整理したい」としている。選定への申請の時期は未定という。

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