【須坂市議会】なり手不足解消に向け市民との対話へ新たな方策提案

2022-04-29 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 須坂市議会(定数20、欠員1)の「市議会議員選挙の課題等検討特別委員会」(霜田剛委員長、委員9人)は先ごろ、議員のなり手不足解消を図るために議論してきた内容を報告書にまとめた。議会に対する市民の関心を高める方策では、市民との対話の重要性を示し、委員会ごとに各種団体・各地区との意見交換会の開催や、市議会報に住民意見を反映させる「モニター制度」導入の検討などを挙げた。
 報告書は▽市議会議員に立候補しやすい環境づくり▽市議会に対する市民の関心を高める方策▽その他市議会議員選挙の諸課題等―の各項目でまとめた。
 このうち、議会への関心を高める方策では、新たなやり方による市民との意見交換会の実施に向けた検討を要望。「市民と問題意識を共有し、要望を的確に政策に反映するためには市民との対話が欠かせない」とし、計画的に年間や複数年でスケジュールを決め、委員会ごとに各種団体・各地区(ブロック区長会)と議題やテーマを設けて開催する方法を提案した。
 2005年度(試行)から14年度まで開催してきた行政視察報告会については「参加者が毎回同じ顔ぶれになってしまうとの指摘があった」とした。
 昨年6月から開始した市議会のSNSを活用した情報発信に関しては「情報をオープンにすることは市民参画にもつながる」と、一層の推進を求めた。
 また公職選挙法では無投票当選の場合、選挙公報の発行が中止となることから、議会として公約などを市民に周知するための検討を要望した。
 市民に関心を持ってもらうきっかけづくりとして、市議会報に対する感想、意見を聞く「モニター制度」の導入の検討を挙げた。議会主催の講演会などを市民に公開することも「有用な方策の一つ」と提案した。
 立候補しやすい環境づくりのうち、議員の政策提言、人材育成に関する制度の構築では、他市町村で取り組まれている「サポーター制度」のような方法の導入について「必要とする意見と、効果が限定的であり自らが努力すべきとの意見に分かれた」とした。
 女性が立候補しやすい環境整備では「家庭生活と両立しやすい会議規則の改正など、やる気のある方が立候補し議員活動をしやすい制度面での環境整備はさらに進める必要がある」と指摘した。
 一方で、さまざまな課題を解決していくためには「男女関係なく市議会議員に送り出そうとする意識を持っていただくことがまず必要」とし、方策としてフォーラムや講演会の開催を挙げた。
 他にも多様な人材を確保するための環境づくりに向け、国に対する働き掛けの検討を促した。
 会議のオンライン開催など「デジタル化のさらなる推進」にも期待。夜間・休日議会は「費用対効果や職員負担の面からも現実的ではないとの意見が多く出された」とした。
 その他の課題では議員報酬、定数について、報酬は「若い人の生活が保障できる報酬に増額すべきという意見が多く出された」と報告した。ただ、現行の報酬(月額358,700円)、定数が全国類似人口都市と比べてほぼ平均的なことや、引き上げに対して「市民理解を得られるのか」といった意見、専業と兼業では考え方に違いもあるとし、「それ以上の検討には至らなかった」とした。
 定数は「現行のままとする意見が多数」だったが、それ以外の意見もあった。「無投票を防ぐための定数削減が、なり手不足解消につながらないことから、結論には至らなかった」とした。
 同委員会は、19年1月27日告示の市議選が市制施行以来初めて無投票になったことを受け、同年3月に設置、計23回の会議を開いた。市民アンケートや区長会役員との意見交換、データ検証なども行い、議論を重ねた。
 霜田委員長は取材に「委員からはさまざまな意見が出された。一定の結論や方向性を出すことにこだわらず幅広く検討した結果をまとめた」と話した。報告書は3月18日、議長に提出した。
 議会は今後、報告書を踏まえて順次取り組みを進めていく方針。既に検討に着手している事項もあるという。
 報告書は市ホームページで公開。5月1日発行の市議会報にも掲載する。

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