2022-04-29 07:00 am by 須坂新聞
今季からサッカーJ3のAC長野パルセイロを率いるシュタルフ悠紀リヒャルト監督(37)が22日、須坂市メセナホールで「スポーツ(サッカー)の持つ価値」と題し講演した。サッカーを通じて多くの国々を渡り歩いたシュタルフ監督は、スポーツの魅力について「世界中の人々が差別や出身と関係なく、互いにコミュニケーションを取りながら楽しめることだ」と語った。約300人が聴講した。
シュタルフ監督はドイツ・ボーフム出身で父親がドイツ人、母親が日本人。5歳ごろに来日し、横浜市のインターナショナルスクールで学んだ。東京横浜独逸学園卒業後、主に海外でプレーし、2015年に現役引退。選手や指導者としてスイスやドイツなど11カ国を渡り歩いた。
来日した直後は地域に馴染めず、疎外感を抱いていた。サッカーを始めてから仲間が増え、子どもながらにスポーツの素晴らしさを感じたという。競技を通して夢や希望が膨らみ「サッカーが生きがいになり、指導者になりたい」と思うようになったという。
選手や指導者として、さまざまな国や地域で多くの出合いがあり、「サッカーが常に私の居場所をつくってくれた」。文化の違いや言葉の壁に戸惑ったこともあるが「言葉が通じなくてもサッカーが共通言語になり、土地や人、絆を結んでくれた」と振り返った。
「サッカーは自分にとって世界を旅するパスポート。海外では日本で当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなる。自分の常識を捨て、文化や新しいものを知ることができた」と語った。
聴講者からの質疑応答では「チームでは、どのような指導を心掛けているか」と問われ、「選手をうまくさせることを第一に考えている。選手にはそれぞれ武器や良さがあり、輝くタイミングがある。一人一人と向き合って、成長できるように一生懸命やっていきたい」と答えた。
今季について「自分が感じた価値観や考え方、地域で生きる喜びを(サポーターや地域の人と)共有できるチームを目指したい。皆さんと一緒にこのチームを育てていきたい」と抱負を述べ、聴講者から温かい拍手が送られた。
講演会終了後は抽選会を行い、サイン色紙やボールなどを当選者に手渡した。
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