【阿部知事に新年の抱負を聞く①】教育・子育て、産業力強化へ

2011-01-01 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 本紙は昨年12月7日、県庁で阿部守一知事と会見した。新年の抱負と須高の課題を聞いた。(以下要旨)
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 昨年を顧みますと、本県経済は、急激に進む円高とデフレの影響を受け、大変厳しい環境に置かれ、県としては切れ目のない経済・雇用対策により経済の下支えを行いました。また、春の飯田のお練りまつりや諏訪大社御柱祭、秋の信州デステイネーションキャンペーンにより、大勢の観光客に信州へおいでいただき、県内経済へのプラス効果をもたらすことができました。
 猛暑の中行われた知事選挙において、私は県民の皆さまの厳粛な負託をいただき、長野県知事に就任いたしました。
 私が生まれた昭和35(1960)年はまさに日本が高度経済成長へと進もうとしていた時期でしたが、低成長の時代に移り、価値観の変化や地方分権の推進等社会経済環境も大きく変化しています。この歴史の転換期にあって、時代の要請に応えられるように、私たちは、勇気を持って、国や地方自治体のかたち、社会経済の仕組み、行政運営の在り方を変革し、新たな道を切り開かなければなりません。
 かつて地域社会のどこにもあった温かい人情や人間関係、地域のきずなが希薄になり、それを象徴するかのように自殺や孤独死、児童虐待など心を痛めるような事件が後を絶ちません。
 当たり前に暮らすことが困難な時代だからこそ、私は、県民の皆さまの確かな暮らしを守り、県民が主役の「県民主権」の県政運営の実現を目指して邁進(まいしん)してまいります。
 このため、新しい時代を展望した長野県づくりのビジョンと総合的な施策推進のプログラムを示すため、新たな総合計画の策定に着手します。
 また、厳しい財政状況の中ですが、平成23年度当初予算では、当面の経済・雇用情勢に十分配慮しつつ、「教育・子育て先進県の実現」「産業力・地域力の強化」「暮らしの安心確保」「県民主権の自立した県政の実現」を重点施策として取り組みます。 
 人づくりは長野県の未来を創(つく)る根幹です。4月には発達
障害、ひきこもりなど子ども・若者をめぐる深刻な課題に対応する「次世代サポート課(仮称)」を設置します。また、教育委員会との連携を深めながら、学力、不登校等の課題に対処し、信州教育の再生に取り組みます。
 産業づくりのためには、「信州経済戦略会議」を設置し、中長期的な視点から長野県を支える持続可能な地域経済、新たな産業の創造について検討してまいります。
 また、国内市場が縮小する中で、製造業だけでなく、農業、観光分野についても、積極的な海外戦略を展開し、新たなマーケットを獲得し、長野県へ富をもたらし、雇用を確保していくことが不可欠と考えています。
 日本の将来に明るい未来を見いだすことが難しい時代ですが、萎縮(いしゅく)することなく、自分たちの未来は自分たちで創るという覚悟を持って、行動を起こすことが必要です。歴史を見ても、信州人は、直面する困難が大きければ大きいほど、固いきずなと積極果敢なチャレンジでそれを乗り越え、新しい時代を切り開いてきました。
 長野県知事として、勤勉で高い見識と進取の気性に富んだ県民の皆さまと手を携えて、新たな信州のくにづくりに挑戦できることに、大きな喜びと幸せを感じております。

2011-01-01 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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